女性は何でも捨てたがる 男とは違う
暖かい日。
二階でごそごそと音がして、呼ぶ声が聞こえる。
行ってみると これを捨てるのだという。
長男の生まれた時の、手形が入った額縁なのだ。
長い間 見たこともなかったが。
次男のものもあった。
若い時に添えたメッセージがちょっと面はゆい。
こんなものは捨てずにおいておけ、といっても
邪魔だから捨てたいと。
押入れの中に、押し込んどいて俺が死んだときに
見せてやれ と言ってみたが。
それには耳を貸さず、今度二人が来た時に
いらないかと聞いてみるという。
懐かしい大事な思い出と思うが、女房殿にはごみに見えるらしい。
娘のものはないのかと聞くと
そのころにはブームが去った後だという。
どうも娘に 兄二人の手形額縁の存在を知られと
なんで自分のものがないのと聞かれると困るので
処分したいのかも と勘繰った。
それにしても、女房殿は昔のものを 何でも捨てたがる。